騒音調査レポート

1音とは何?

私たちは毎日、音に囲まれた生活をしていますが、音とは一体何でしょうか。
以下に、”音って何”から始まって、低周波音についての基本的なお話しまで、
環境省のパンフレットを基に紹介していきたいと思います。

~音って何?~

音は空気の微小な圧力変動です。
その変動が耳に伝わって、鼓膜を振動させることにより、人は音として感じます。
このとき、大きい圧力変動であれば大きい音、小さい圧力変動であれば小さい音に聞こえます。
また、1秒間に振動する回数を周波数といい、回数が多ければ高い音、少なければ低い音として聞こえます。音の大きさは音圧レベルで表し、単位はdB(デシベルと読む)を用います。音の高さは周波数で表し、単位はHz(ヘルツと読む)を用います。

環境省”よくわかる低周波音”

低周波音って聞こえるの?

低周波音は、私たちが話す声や鳥のさえずり、虫の音などと同じ音の仲間です。
音の中でも、特に低い音のことを低周波音と呼んでいます。
例えば、船やバス・トラックなどのエンジン音、大きな滝の水が滝壺に落ちる音、波が防波堤で砕ける音などに低周波音が多く含まれています。

身近な音と周波数の例

我が国では、概ね1Hz~100Hzの音を低周波音と呼び、その中でも、人間の耳では特に聞こえにくい音(20Hz以下の音)を超低周波音と呼んでいます。

環境省”よくわかる低周波音”

耳は低い音ほど鈍感

人は周波数によって音の感度が異なります。人の耳は2000Hz~5000Hz付近が最も感度がよく、初期の携帯電話のベルにはこの辺りの周波数が用いられていました。一方、人の耳は周波数が低くなるほど感度が鈍くなる傾向があります。
音の周波数が低くなると、大きな音でないと感じなくなります。
例えば、200Hzの音では2000Hzの音に比べておよそ15dB、20Hzの音ではおよそ80dB大きな音でないと人は感じることができません。

人が音を聞き取れる(感じ取れる)範囲

環境省”よくわかる低周波音”

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2音の表し方

今後、騒音・低周波音を説明するのに何度も出てきます周波数重み特性他について説明します。

下記に、騒音・低周波音を表す特性、A特性、F特性、G特性で記載したグラフを示します。
このグラフは1つの音を決まった周波数ごとに記載したもので、原音はF特性で示したグラフです。
その他、補正を加えてA特性、G特性で表したグラフを一緒に記載しています。
各、特性に関する説明を下記にまとめました。

風車の騒音予測

A特性
主に可聴音(人に聞こえる音)を評価するのに使っています。
一般に人が聞くことのできる音の周波数範囲は20Hz-20000Hzとされています。
機械で騒音を測定する場合は、人間に聞こえない周波数範囲の音まで計測することが出来ますが、音圧が同じでも周波数によって大きさ感が異なるため、大きさ感が同じになるように補正したものです。
A特性は”人間の聴覚の感度補正”といえます。
周波数が低いほど感度が鈍いことになります。
G特性
低周波音の中でも超低周波音領域(1~20Hz)の聞こえにくい音について、音圧が同じでも周波数によって感じ方が異なるため、感じ方が同じになるように補正したものです。
G特性は”人間の体感の感度補正”といえます。
F特性
A特性、G特性のような感度補正をしていない原音のことです。(平坦特性)
1/3オクターブ分析
音は周波数によって聴覚に対する作用や伝搬性状が異なるため、各周波数別に音圧レベルを調査する必要があります。音(騒音)に含まれる周波数成分を調べることを周波数分析といい、1オクターブ※1を3分割した1/3オクターブ幅で調べることを1/3オクターブ分析といいます。
※1
オクターブとは、例えばドの音から次の上のドの音との関係のように周波数比が 2 倍となる音程を意味しています。また、オクターブバンドとは、ある周波数を中心にして上限と下限の周波数比が 1 オクターブとなる周波数の帯域(バンド)のことで、の中心の周波数をオクターブバンド中心周波数と呼んでいます。また、オクターブバンドを 1/3 に分割したものを、1/3 オクターブバンドといいます。 下図のように、音楽の平均率音程とは、1 オクターブを定比的に 12 等分した音程で、1/12 オクターブバンドとなっています。

音階(12平均率)

50
不規則かつ大幅に変動する騒音のうち、発生時間のx%を占める騒音レベルが、x%時間率騒音レベルであり、量記号はLx、単位はデシベル、単位記号はdBを用いています。
これを、例えば、「騒音の発生時間をT分」とした場合、(T×x/100)分間が、「騒音レベルLx以上」、 (T-T×x/100)分間が「騒音レベルLx以下」であることを意味しています。
騒音の発生時間の50%を占める騒音レベルを「中央値L50」、5%を占める騒音レベルL5を「90%レンジの上端値」、また、95%を占める騒音レベルL95を「90%レンジの下端値」などという。
等価騒音レベル
LeqまたはLAeqで表します。等価騒音レベルとは、不規則かつ大幅に騒音レベルが変動している場合に測定時間内の騒音レベルのエネルギーを時間平均したものです。
一般に、等価騒音レベルの算出には騒音計の周波数補正回路のA特性を通したレベルが用いられ、これを明記した場合にはLAeqと標記されます。
主に環境基準に係る騒音の評価として用いられます。

等価騒音レベルのイメージ図

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3身近な音

身近な音として身の回りにある音(騒音)について分かりやすくまとめた図を下記に示します。
今後、風車の音を理解して頂くための参考としてご覧ください。

図2 騒音の目安(地方都市・山間部用)

全国環境研協議会 騒音小委員会”騒音の目安”

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4騒音に係る環境基準について

下記に、環境省「騒音に係る環境基準」の抜粋を示します。

第1 環境基準

1 環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりとし、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)が指定する。

図表

  • (注)1 時間の区分は、昼間を午前6時から午後10時までの間とし、
         夜間を午後10時から翌日の午前6時までの間とする。
  • 2 AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して
      設置される地域など特に静穏を要する地域とする。
  • 3 Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。
  • 4 Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
  • 5 Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に
      供される地域とする。

ただし、次表に掲げる地域に該当する地域(以下「道路に面する地域」という。)については、
上表によらず次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

図表

  • 備考
  • 車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を有する帯状の車道部分をいう。
    この場合において、幹線交通を担う道路に近接する空間については、上表にかかわらず、特例として
    次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。

図表

環境省”騒音に係る環境基準について”

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5安岡沖洋上風力の計画

以下に安岡沖洋上風力の現状の風車配置検討案を説明致します。

当初の計画は、3MWの風車を20基、最も近い民家から約760m離れた位置に建設する予定でしたが、低周波音その他に対する地元の方々の健康被害に関する不安を考慮し、下記計画に修正致しました。

  • 安岡沖洋上風力の現状の検討案; 4MW風車 15基(2列配列)
  • 最も近い民家から 約1,500m 離す計画

★これまでの国内風力施設と比較しても、
生活エリアから十分な距離を確保しています。

安岡沖洋上風力;風車の計画位置図

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6風力発電と苦情の現状

下記に、平成22年10月7日、環境省「風力発電施設に係る騒音・低周波音の実態把握調査」より、
風車からの距離と苦情発生の関係を示します。

調査対象;風力発電施設 全国389か所
苦情なし325か所(全体の83.6%)
苦情有⇒終結39か所(全体の10.0%)
苦情有⇒継続25か所(全体の6.4%)

イメージ

苦情が継続している25件の風車からの距離は、最も遠い1件が1020m、4件は7~800m、残り20件は700m未満である。
健康被害問題のある愛知県伊方町、愛知県田原市、豊橋市は、210m、350m、680mと風車に近い地点に民家がある。

※この調査は、「騒音・低周波音による健康被害」ではなく、その前段階である「苦情」の有無を調査したものですが、「苦情(継続)」は風車から約1000m以内で発生しています。

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7騒音の影響予測

調査位置図

11地点で調査しました。

調査位置図

各地点での風車騒音の影響

・各地点で測定された暗騒音に対し、距離に応じた風車からの音圧を加えて風車の影響を予測します。

  • 騒音調査の調査結果と予測結果

環境省「平成23年度風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務」より
『現況より3dB増まで許容する』ということは、現況と同じレベルの排出を認めても、
3dB程度ならば、人は知覚しにくいとのことによります。

風車騒音に関するこれまでの知見と評価の考え方

平成28年11月 環境省 「風力発電施設から発生する騒音等への対応について」発表

1.調査、検討会で得られた知見
①風車騒音は超低周波音ではなく、通常可聴周波数範囲の騒音の問題
  (風車騒音の超低周波音領域は、すべて知覚閾値を下回っている)

②一般環境騒音、交通騒音等と風車騒音を比較して、低周波領域の卓越は見られない

2.評価の目安となる値
③残留騒音からの増加量を5dBに収める
 ※残留騒音:一過性の騒音を除いた地域の背景的な騒音で、
 90%時間率騒音レベル(LA90)+2dBで代替可

イメージ

すべての調査地点が残留騒音+5dBに収まっています。

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8まとめ

これまでの調査分析結果より、

  • ①環境省のデータ(苦情と風車からの距離)より、苦情が継続している物件で風車から最も遠い距離は1,020mであり、今回の計画は風車から最も近い民家でも1,500mの距離があります。
  • ②各所の暗騒音(もともと存在する騒音)に風車の騒音が加わった場合、騒音の増加分は現況より2dBと小さい値になっています。(現況実測値からの増加分)
  • ③風力発電施設建設後の残留騒音の増加は1~4dBであった、これは環境省から発表された「風力発電施設から発生する騒音等のへの対応について」に記載されている「評価の目安となる値:残留騒音+5dB」に収まっています。(残留騒音からの増加分)
  • ★以上、①、②、③の理由により、当社は、風車の可聴音による影響はたいへん小さいと
    考えています。
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9今後について

不明な点、ご質問等ありましたら当ホームページまでご質問頂ければ対応して参ります。
今後とも当計画をご理解の上、ご指導とご協力宜しくお願い致します。

  • ※ 参考
  • デシベル(騒音)の計算
  • Aデシベル(dB)とBデシベル(dB)の音がある場合、二つの音を合わせた騒音の大きさは次の式
    で求められます。
    騒音の大きさ(dB)=10×log(10A/10+10B/10)
    この時、AとBを合わせた騒音の大きさは、単純な数字の足し算;A+Bではありません。
    数式の性質上、AとB二つの音(dB)の差によって元の音(dB)よりいくら増加するか目安が決まってきます。
    以下に合わせた音の増分の目安として表を示します。                
  • 騒音(dB)差と騒音(dB)の増加の目安

  • 【 騒音の距離減衰、計算の根拠 】
■騒音
風力発電施設で影響評価の際に一般的に用いられているNEDO※2風力発電のための
環境影響評価マニュアル
  • ・伝搬過程における幾何学的拡散による距離減衰
  • ・空気の吸収等による超過減衰

を考慮した予測計算式

  • Ln :n番目の風力発電機から水平距離r(m)離れた地点での騒音レベル(dBA)
  • Lw :風力発電機のパワーレベル(dBA)
  • r :風力発電機から騒音予測地点までの水平距離(m)
  • h :風力発電機のパワーレベル(dBA)ブレード中心までの高さ(m)
  • α :定数(dB/m)

  • Lp :予測地点における騒音レベル(dBA)
  • Ln :n番目の風力発電機による騒音レベル(dBA)

  • L :風力発電施設稼働後の将来の騒音レベル(dBA)
  • Lp:風力発電機による騒音レベル(dBA)
  • Lb:現地調査によって得られる暗騒音(dBA)
※2

新エネルギー産業技術総合開発機構。1980年に政府および民間の協力で創設された、石油代替エネルギーの総合開発を主業務とする機関。太陽光、風力、燃料電池などの技術開発、フィールドテストなどの導入促進事業の展開により、新エネルギー、省エネルギーの導入拡大をはかるとともに、これらの知見をもとに地球温暖化問題にも取り組んでいる。また、民間部門では実施困難な基礎的、先導的な研究開発支援や、実用化研究開発による新たな事業機会の創出支援も行っている。

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